先輩から学ぶ失敗事例09: 過度な価格競争

インタビュー:Iさんが語る、過度な価格競争による失敗と再起
Iさんは、飲食店を経営する中で近隣店舗との価格競争に巻き込まれ、価格を下げ続けた結果、利益が出なくなってしまいました。その経験から学び、独自の価値を提供することでリピーターを増やす重要性に気づいたIさんの失敗談を伺いました。
- ―開業当初、どのような状況でしたか?
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Iさん:開業して最初の数ヶ月は順調でした。地域に根差したお店を目指して、安くて美味しい料理を提供していました。ただ、近隣に同じようなジャンルの店が増えてきたことで、価格競争が始まってしまったんです。他店が値下げをすると、うちも価格を下げざるを得なくなり、徐々に利益が薄くなっていきました。
- ―価格競争にどのように対応されたのですか?
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Iさん:他店と同じか、それ以上に価格を下げることで対抗しようとしました。「安ければお客様が来るだろう」と思っていたんです。ですが、価格を下げるたびに仕入れコストや固定費が利益を圧迫し、結局、忙しいだけで全く利益が残らない状況に陥りました。
- ―その結果、どうなりましたか?
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Iさん:価格を下げても、思ったほどお客様は増えませんでした。むしろ、安さだけを求めるお客様が多く、リピーターが少ない状態でした。その結果、売上は一定しても利益が出ず、家賃や人件費の支払いも厳しくなり、ついには赤字が続くようになりました。
- ―その後、どのように問題を解決されたのですか?
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Iさん:価格競争に限界を感じ、問題を見つめ直しました。そのときに学んだのがランチェスターの法則でした。低価格戦略は強者の戦略で、私のような小規模店舗では、大規模チェーン店と同じ土俵で戦っても勝てないということを理解しました。そこで、価格競争から抜け出し、独自の価値を提供することで、リピーターを獲得する戦略に切り替えました。
- ―具体的にどのような戦略を取りましたか?
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Iさん:価格を上げることには勇気がいりましたが、その代わりに特化したメニューを提供することにしました。地元の食材を使った特別な料理や、他店では体験できないサービスを提供することで、価格以上の価値を感じてもらうことを目指しました。お客様が「ここでしか味わえない」「特別な体験ができる」と感じてもらえるように工夫を凝らしました。
- ―その結果、どのように変わりましたか?
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Iさん:最初は不安もありましたが、徐々にリピーターが増えました。お客様が「この店に来る理由」を見つけてくれたことで、価格以上の価値を感じてもらえるようになったんです。今では、価格を下げずとも「ここでしか味わえない」という特別な価値を提供することで、安定した売上を確保できています。
- ―この経験から学んだ教訓は何ですか?
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Iさん:価格競争に巻き込まれることの危険性を痛感しました。低価格戦略は、強者の戦略であり、仕入れや規模で勝てない私のような小規模店舗には不向きです。むしろ、弱者の戦略として、特化したサービスや独自の価値を提供することが重要だと学びました。お客様が何を求めているのかを理解し、それに応じた価値を提供することで、価格以上の魅力を提供することができるのです。
- ―これから飲食店を開業する方にアドバイスをお願いします。
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Iさん:価格競争は一時的にお客様を集めるかもしれませんが、長期的な利益にはつながりません。むしろ、自分の店舗が提供できる独自の価値に焦点を当て、他店との差別化を図ることが大切です。お客様が「この店でしか得られない何か」を感じてもらうことが、リピーターを増やし、安定した経営につながります。価格ではなく、価値で勝負することが成功への鍵だと思います。
価格競争に頼らない独自の価値の提供
Iさんの事例から学べるのは、価格競争に巻き込まれることのリスクと、独自の価値を提供して差別化を図る重要性です。低価格戦略は強者の戦略であり、特に小規模な飲食店では、仕入れやコスト面で大手チェーンに勝つことは難しい。代わりに、特化したサービスや独自のメニューで顧客に価値を提供することが、リピーターを増やし、長期的な成功に繋がるという教訓を得られます。

