先輩から学ぶ失敗事例04: 顧客ニーズを無視したコンセプト

インタビュー:Dさんが語る、顧客ニーズを無視したコンセプトによる失敗
Dさんは、以前からの夢だった高級フレンチレストランをオープンしました。しかし、繁華街から少し離れた住宅街に出店したことで、地域のニーズと合わず、思わぬ苦戦を強いられました。今回はその失敗談と学びについて伺いました。
- ―フレンチレストランを開業された経緯を教えてください。
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Dさん:料理が好きで、特にフレンチ料理に情熱を注いできました。自分の手で特別な空間を作り、お客様に高級感のあるフレンチを楽しんでもらいたいという夢がありました。そこで、落ち着ける雰囲気の中で料理を味わっていただけるお店を開こうと、繁華街から少し離れた住宅街の奥に、ひっそりとしたフレンチレストランをオープンしました。
- ―出店するエリアはどのように決めたのでしょうか?
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Dさん:もともとその住宅街が静かで上品なイメージがあったので、私の考える高級フレンチにぴったりだと思いました。また、住宅街の中にあることで、特別感を演出できるとも考えました。店内も私の好みに合わせて、シックで洗練されたインテリアにし、メニューも少し高めのコース料理を中心にしました。
- ―実際に開店してからの反応はどうでしたか?
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Dさん:正直、思っていたよりも反応が鈍かったんです。静かな住宅街に位置していたので、通りすがりのお客様は少なく、近隣住民の方々をターゲットにしようと思っていましたが、想定していたお客様層がなかなか来店しませんでした。エリアの住民の多くは若い家族や学生が多く、私の提供する高級フレンチにはあまり興味を持ってもらえなかったんです。
- ―なぜニーズが合わなかったのでしょうか?
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Dさん:今思えば、エリアのリサーチが不十分でした。この地域は若い世代が多く住んでいるにもかかわらず、私の店はどちらかというと年齢層が高い方々に向けたコンセプトで進めていました。また、若い世代が多いエリアでは、もっとカジュアルで手軽なメニューが求められていたのだと思います。それを完全に見誤っていたんですね。
- ―どのようにして対処されましたか?
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Dさん:まず、思い切ってメニューの見直しをしました。高級感を維持しつつも、もっとリーズナブルで親しみやすいメニューを取り入れることにしました。また、店内の雰囲気も少しカジュアルに変更し、若い方々が気軽に来店できるようなコンセプトに変えました。それと同時に、SNSを活用した宣伝活動も始め、地域の若い世代にアピールするよう心掛けました。
- ―その後、経営状況は改善されましたか?
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Dさん:そうですね、少しずつですが、若いお客様が増えてきました。以前は特別な日にしか来店していただけなかったのが、気軽にディナーを楽しんでもらえるようになり、リピートしていただけるお客様も増えました。やはり、地域のニーズに合ったコンセプトに変更したことが功を奏したと思います。
- ―この経験から学んだ教訓を教えてください。
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Dさん:自分の好みや理想だけでお店を作っても、それが地域のニーズと合わなければ成功は難しいということを痛感しました。特に出店するエリアの客層やニーズをしっかりリサーチし、顧客目線でコンセプトを設定することが大切だと学びました。もちろん、自分のこだわりも大事ですが、バランスが必要ですね。
- ―最後に、これから飲食店を開業する方にアドバイスをお願いします。
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Dさん:私のように、最初に自分の理想を追求しすぎると、地域のニーズとずれてしまうことがあります。まずは、しっかりとその地域の特性やターゲット層をリサーチして、どんなお客様が何を求めているのかを理解することが重要です。そして、そのニーズに合ったコンセプトを作り上げることで、自然とお客様が集まってくると思います。
Dさんの失敗から学べることは、飲食店経営においては顧客ニーズを無視せず、地域の特徴に合ったコンセプト設定が成功の鍵であるということです。
リサーチ不足で失敗してしまったDさん。では事前にどんなことをリサーチすべきだったのでしょうか。今回の教訓は、リサーチ時に気にすべきポイントについて解説していきます。
リサーチ時に気にすべきポイント
1. ターゲット層のリサーチ
- 年齢層や家族構成
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エリアの住民の年齢層や家族構成を事前に把握することで、どのような顧客層が住んでいるのかがわかります。若い単身者が多いエリアなのか、家族連れが多いのか、それによってメニューや価格帯、店内の雰囲気を決定する参考になります。
- ライフスタイル
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地域住民のライフスタイルも重要です。例えば、忙しい平日には手軽で早く提供できるメニューが求められる一方、週末にはゆっくりと時間をかけて楽しめる料理が好まれることがあります。これを理解することで、営業日や営業時間、メニュー内容を調整できます。
2. 地域の消費傾向のリサーチ
どれくらいの頻度で外食をするか、外食にどの程度の金額を支払うかなど、消費傾向をリサーチすることが重要です。高級フレンチを求めている地域でなければ、コース料理中心の高価格帯メニューでは顧客にアピールできない可能性があります。地域住民が一般的にどのくらいの価格帯で外食を楽しむかを把握しておくべきです
3. 地域のトレンドや文化の理解
地域ごとに好まれる飲食スタイルや食文化があります。例えば、カフェ文化が根付いているエリアでは、フレンチレストランよりもカジュアルなカフェメニューのほうが受け入れられやすいかもしれません。また、特定の料理が流行している地域や、ベジタリアンやビーガンのニーズが高いエリアもあるため、地域のトレンドや食文化を理解しておくことが必要です。
4. 立地のリサーチ
店舗の立地は重要な要素です。人通りの多さや交通アクセスの良さ、駐車場の有無など、物理的な要因が集客に大きく影響します。繁華街や住宅街ではそれぞれ違ったニーズがあるため、ターゲット層が実際に店を訪れやすい場所かどうかを確認することが大切です。
5. マーケティングリサーチ
開業後の宣伝方法や集客手段についてのリサーチも必要です。地域のSNSや口コミサイト、地元のイベントなどを利用することが効果的かどうか、また、開店直後にどうやって知名度を高めるかを事前に計画しておくべきです。
まとめ
Dさんのケースでは、競合他社のリサーチは重要でしたが、それだけでなく、ターゲット層のリサーチや地域の消費傾向の調査、立地の確認、そして地域のトレンドや文化を把握することが必要でした。これらを事前にしっかりリサーチすることで、より地域に合ったコンセプトを設定し、成功の可能性を事前に高めることができたでしょう。

