先輩から学ぶ失敗事例02: 初期費用のかけ方

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起業当初は経験もなく、費用配分や優先順位が分からず運転資金や経費を何にどれだけ使ったらよいのか全く分からなかったというBさん。一体何を間違ってしまったのでしょうか?

目次

インタビュー:Bさんの初めての飲食店出店と過剰な設備投資の失敗

Bさんは、長年の夢であった飲食店の開業を果たしましたが、起業当初、思わぬ苦労に直面しました。今回はその経験をお伺いしました。

―飲食店の開業を決意したきっかけを教えてください。

Bさん:料理が大好きで、いつか自分のお店を持ちたいという夢がずっとありました。長年温めていたアイデアがあったので、ついに起業を決意しました。これまでサラリーマンとして働いてきましたが、満を持して独立するタイミングだと強く思ったんです。

―実際にお店を開業するにあたり、どのような準備をされましたか?

Bさん:まずは、理想の店舗のイメージを工務店さんに伝え、具体的なプランを作成してもらいました。最初は厨房設備や内装に関しては、最低限必要なものに絞ろうと思っていたんですが、工務店さんが提案してくれた最新設備がとても魅力的で。例えば、最新機能を搭載している高額な厨房機器やデザイン性の高いインテリアを揃えれば、他の飲食店と差別化できるという話がすごく響いて、つい「それなら」と思ってしまったんです。

―結果的にどのような設備を導入したんですか?

Bさん:冷蔵庫やオーブンはもちろん、大型で最新の食器洗浄機や、照明や内装に関しても一流のデザイナーによる提案を採用しました。新技術が盛り込まれた厨房機器は高額で、さらに空調やインテリアにもかなりの費用をかけました。工務店さんからの提案が非常に魅力的に思えたので、長期的にはこれが投資になるだろうと考えました。

―その結果、どのような問題が発生しましたか?

Bさん:開業してからすぐに気づいたのですが、運転資金が全然足りなくなってしまったんです。設備投資に多額を費やした結果、最初の数ヶ月の売上が安定する前にキャッシュフローが枯渇してしまいました。最初は「すぐにお客さんが増えて回収できるだろう」と楽観的に考えていたのですが、現実はそんなに甘く無かったです。店舗が思うように軌道に乗らず、開業後に資金繰りに奔走する日々が続きました。

―資金調達にどのように対応されたのですか?

Bさん:銀行から追加融資を受けることを検討しましたが、すぐに資金が手に入るわけではなく、手続きもかなり大変でした。そのため、家族や友人から一時的に借り入れをお願いするしかなく、かなりプレッシャーを感じていました。ようやく何とか乗り切ることができましたが、正直なところ、開業直後にこんなにも資金繰りに苦労するとは全く思っていませんでした。甘かったです。

―この経験から、学んだことを教えてください。

Bさん:まず、開業時には必要最低限の設備で十分だということです。最初からハイグレードの設備を揃える必要はなく、実際にお店が軌道に乗ってから段階的に設備を導入する方が賢明だと感じました。特に食器洗浄機は熟考すべきでした。また、運転資金の確保が何より重要です。特に飲食店の場合、最初の数ヶ月間は売上が不安定になる可能性が高いので、その期間を乗り越えるための資金はしっかり準備すべきでした。食器洗浄機は非常に高価なので開業当初は導入を諦めるべきでした。必要最低限の機種選定は経験者や慣れた厨房業者に相談するべきだと後から思いました。

―最後に、これから飲食店を開業しようとしている方にアドバイスをお願いします。

Bさん:開業前に専門家の意見を取り入れ冷静な判断をすることが大事だと思います。魅力的な設備やデザインの提案があっても、まずは自分のビジネスプランにとって本当に必要かをしっかり見極めることが大切です。そして、必ず運転資金に余裕を持たせること。売上が安定するまでの間、資金不足に陥らないような計画を立てておくことが、成功のカギになると思います。

Bさんの経験から、初期投資に対する適切な判断と運転資金の確保が、飲食店経営の成功に欠かせない要素であることがよくわかります。夢を実現するためには、堅実な計画とリサーチが必要です。

Bさんの失敗からの教訓:初期費用をかけるべき項目を把握し、その割合を考える

Bさんの失敗から、特定の業者さんの話を聞いているだけで難しいということがとても良く割ります。それでは小規模飲食店の初期費用は何にどれだけかけるのか、またどの様な優先順位で経費を使うのかが一般的なのかを見ていきましょう。

  1. 物件取得費
  2. 内装工事費・厨房機器・設備工事費
  3. 運転資金

その中でも外すことのできない項目として、以下の費用について割合とその削減方法を考えていきます。

1.物件取得費

店舗を構えるための賃貸契約に関連する費用は最優先です。店舗がなければ営業ができません。

先ず、物件取得費の前に家賃の売り上げに対しての割合について理解しておきましょう。家賃の適切な設定は経営の安定に直結します。飲食店経営における家賃の目安として、一般的に売上予測の10%前後に収めるのが理想的とされています。これは、家賃が売上の大きな割合を占めすぎると、運転資金が圧迫され、他の経費(仕入れ、人件費、光熱費など)に回す余裕がなくなってしまうためです。家賃が10万円であれば売り上げは100万円。20万円の家賃でしたら200万円の売り上げが必要など、逆算して計算する方が殆どです。家賃が売上の15%以上になると、他の経費とのバランスが崩れ、利益を確保するのが難しくなると言われています。

家賃を基準にして、物件取得時には、敷金・礼金、保証金、仲介手数料といった初期費用もかかります。それらも含めて資金計画を立てることが重要です。初期費用における物件取得費の割合は、一般的に20~30%程度とされています。

具体的な金額や条件は物件や地域によって大きく異なりますが、敷金や保証金は家賃との関係性が深く、一般的には家賃の数ヶ月分として設定されることが多いです。通常は家賃の3ヶ月~6ヶ月分が必要です。立地の良い物件ほど高くなる傾向があります。高級な物件や商業施設内のテナントの場合、保証金が家賃の10ヶ月分以上になることもあります。物件の取得費用については、価格交渉が可能なところが稀にありますが交渉できるかどうかは、物件の集客力に依存します。不人気の空き物件は交渉が充分可能ですが家賃が相場より大きく高いかそもそも飲食店に適さない立地のどちらかでしょう。

2. 設備・内装費・厨房機器

設備・内装費の初期費用に対する適切な割合

飲食店の初期費用における設備・内装工事費の適切な割合は、一般的には全体の40~60%程度が推奨されています。これには、厨房機器、什器、内装工事、空調・換気設備、照明、インテリアなどが含まれます。必要最低限の設備でスタートし、事業が軌道に乗った後に追加投資を行うことが、資金不足を防ぐための重要なポイントです。
居抜き物件と言って前店舗の内装や厨房機器、ガス、水道、電気設備を一部または全て再利用出来る場合があります。初期コストを大幅に抑える事も出来ますが、また別の機会に取りあげます。

内装費用と設備費(水道、ガス、電気、空調)と厨房機器の割合
7:3
⇔席数が30席以上になると、上に近づく
6:4
席数が少なくなるほど、厨房機器の費用割合が大きくなる

理由:厨房機器の大きさはある程度決まっていて、席数が少なくなるほど割合が大きくなる傾向がある。

3. 運転資金

運転資金は、飲食店を開業した後の家賃、食材の仕入れ、アルバイトの人件費、店舗の光熱費など、日々の店舗運営を安定して行うために必ず必要な資金です。よく言われるように、お金は人で例えるとの血液のようなものです。車に例えるとガソリンに匹敵します。お金が回らなくなると全ての活動がストップして一気に詰んでしまうでしょう。
特に開業直後は売上が安定しないことが多いため、運転資金をしっかりと確保することが非常に重要です。
一般的には初期費用総額の20~30%程度を運転資金として割り当てるのが理想的とされています。また、約3か月分の利益を運転資金として見込む事もあります。これには完全な正解はありません。開業後数ヶ月間の賃料や人件費、仕入れ代金、光熱費など、固定費と変動費をカバーするためですが得てして売り上げが安定しない創業初期は充分すぎる運転資金が必要です。

運転資金に含まれる主な項目

  1. 賃料:店舗の月々の家賃。
  2. 人件費:従業員の給与や社会保険料。
  3. 仕入れ費用:食材や飲料、消耗品などの仕入れにかかる費用。
  4. 光熱費:水道、電気、ガスなどの費用。
  5. 雑費:店舗運営に必要な細かい費用(掃除道具、メンテナンス費用など)。

運転資金の確保が重要な理由

開業直後は売上が思うように伸びないことも多く、予想以上に資金が不足するケースがあります。十分な運転資金を確保しておくことで、短期間の売上低迷にも耐えられ、店舗運営を安定させることができます。運転資金を確保することで、心に余裕を持って経営に集中できるため、計画通りの成長を目指すことが可能となります。

上記の1~3に加え、必要となる費用は以下のようなものが上げられます。

  1. 許認可申請費
  2. 宣伝・広告費
  3. 保険・セキュリティ費
  4. 開業支援費用
  5. 備品・消耗品費
  6. IT関連費用
  7. 人材採用費
  8. 教育・トレーニング費
  9. 予備費用(予測外の出費)
  10. メニュー開発費
  11. 法務関連費
  12. 会計・税務費

4. 許認可申請費

飲食店を開業する際に必要な許認可申請費用には、いくつかの重要な項目があります。これらの許認可は、法的に営業を行うために必須であり、地域や業態によって多少異なる場合がありますが、代表的なものを以下にまとめました。

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許認可名費用概要
1飲食店営業許可1万円〜2万円概保健所に申請し、施設の検査を受けて営業許可を取得する手続き。
2食品衛生責任者の資格取得約1万円飲食店に必須の食品衛生責任者資格の取得費用。
3防火管理者の資格取得7,000円〜10,000円30人以上の収容人数や火気使用店舗に必要な資格。
4深夜酒類提供飲食店営業届出無料(届出)深夜に酒類を提供する場合の届出。警察署に申請する。
5風俗営業許可10万円〜20万円カラオケやダンスなどを提供する場合に必要な警察署への許可。
6労働保険・社会保険関連の届出無料(手続き)従業員を雇用する場合の労働保険や社会保険の加入手続き。
7産業廃棄物処理契約契約内容による(月額数千円〜)飲食店のゴミ処理のため、産業廃棄物処理業者との契約。

まとめ

飲食店の許認可申請にかかる費用は、店舗の規模や業態によって異なりますが、一般的には数万円程度が目安ですが規模が大きくなると数十万円必要な場合もあります。各許認可を取得する際には、申請手続きや資格取得が必要となり、事前にしっかり準備することが大切です。工務店に相談と確認をしましょう。

営業許可がなければ飲食店として営業できないため、保健所への申請や必要な資格取得にかかる費用は必須です。

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