先輩から学ぶ失敗事例03: メニュー多すぎ問題

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インタビュー:Cさんが語る、初めての飲食店出店とメニュー過多による失敗

Cさんは、念願の飲食店を初めて出店した際、多彩なメニューを提供したかったという想いが裏目に出たと感じたそうです。今回は、当時の経験について伺ってみました。

飲食店を開業しようと決意したきっかけを教えてください。

Cさん:小さい頃から料理が好きで、自分の店を持ちたいという夢がありました。いざ念願の飲食店のオーナーになった時は思わず色々なジャンルの料理に挑戦してみたくなり、開業する直前にはとにかくたくさんのメニューを揃えようと考えていました。「様々な好みを持つお客さんに楽しんでもらいたい」と、どんどんアイデアが出てきて、気がついたら優に50種類以上のメニューができ上がっていました。

メニューをたくさん用意することに不安はありませんでしたか?

Cさん:正直、少し不安はありましたが、嬉しさが勝っていたんだと思います。キッチンスペースも広く取り、最新の調理器具もどんどん導入しました。初期投資は大きかったですが、「これで他店と差別化できる」と信じていました。ですが、開店後に大きな問題が発生しました。

どのような問題が発生したのでしょうか?

Cさん:まず、調理器具が多くなることで作業動線が複雑になりました。結果、調理時間が想像以上にかかるようになりました。食材のロスも大幅に増えました。仕込んだ食材ですがオーダーが通らなかった場合、当然利益管理に悪影響が出ます。メニューの仕込みは非常に手間がかかります。オープンしてからのオペレーションも複雑になり料理を提供するまでの時間が想定以上に必要で、お客さんを待たせることが多くなりました。実はこれがキツかったです。

その結果、どうなりましたか?

Cさん:お客さんからのクレームこそなかったものの、次回来てくれるお客さんが想像以上に少なく、そこにリピート客がつかめ無かった理由があるのだと思いました。サービスの遅れが原因で、きっと顧客満足度が低迷していたんでしょう。売上が伸びない要因の一つだと思い、だんだん焦りが出てきました。せっかくメニューを多くしたのに結果が出ない。設備投資をしたのに、それをうまく活かすことが出来ない。月の売り上げが低迷していた時期は本当に資金繰りに苦労しました。

その後、どのように対応されたのですか?

Cさん:最初は、自分自身と従業員のオペレーション改善に力を入れましたが、根本的な問題はメニューが多すぎることでした。そこで、思い切ってメニューを大幅に絞り込む事にしました。調理工程をシンプルにし、料理の提供スピードを重視するため、提供時間が短くても満足してもらえるメニューを残しました。結果的に、スタッフも慣れてきて、オペレーションがスムーズになり、提供時間が短縮されて来た段階で徐々にお客さんが増えたように思います。

その経験から学んだ教訓を教えてください。

Cさん:メニューを増やすことは、一見魅力的に見えますが、オペレーションやコスト面では大きな負担になります。過大なメニュー構成は私には合いませんでしたね。開業時は、まず効率的な運営ができる範囲でスタートすることが大事だと痛感しました。特に半年間。シンプルであっても、お客様に満足してもらえる質の高い料理とサービスを提供することが、長期的に見て成功の鍵だと思います。もちろんお店のコンセプトにあった料理でですが。

―最後に、これから飲食店を開業する方にアドバイスをお願いします。

Cさん:開業直前のワクワク感や意欲から、つい色々と手を広げたくなる気持ちはよくわかりますが、まずはコンセプトにあったメニューを基本にして、シンプルかつ効率的に運営できる体制を整えることが重要です。最初にしっかりした基盤を作り、まずはリピーターを増やした方が良いでしょう。徐々にメニューやサービスを拡充していくのは固定客が定着してからでも遅くはないかもしれません。そのほうが、結果的に成功に繋がると思います。

Cさんの事例から、飲食店の経営では、効率と顧客満足度のバランスがいかに大切かがわかります。

Cさんの失敗からの教訓
開業当初、メニューを多くしてしまうのはNG。何事も基本とバランスが大切

Cさんの失敗から、やりたい事、提供したいメニューを出しているだけでは飲食店経営が難しいということが良く分かります。
それでは小規模飲食店開店時に、気を付けるバランスについて見ていきましょう。

1.席数と厨房スペースのバランス

小規模飲食店を開業する際、客席スペースと厨房スペースのバランスは店舗運営の成功を左右する重要な要素です。特に、想定客席数に応じた厨房スペースの確保が、効率的な調理オペレーションやサービスの質に大きく影響します。

小規模飲食店の一般的なバランス

本来客席スペースと厨房区画の比率は7:3程度が最善ですがどうしても飲食店の規模が小さいと、客席スペースと厨房スペースの比率は、6:4の割合に近づいてきます。これは客席と厨房を含めた店舗全体の大きさは千差万別なのに対して厨房機器の大きさ(寸法)は比較的一定だからです。さて、この7:3の黄金比率を守れば、コンパクトな店舗でも厨房内に必要最低限の調理機器を設置し、スムーズな調理作業が可能になるでしょう。一方で、客席スペースは収容人数を可能な限り最大化でき、席数に対しても十分なキャパシティが確保できます。

順序的には

  1. 想定席数の確保
  2. 客席と厨房区画の決定
  3. 客席数に基づいた厨房設計

になります。

席数が増える場合のバランス

席数が増え、30席に近づくにつれて、厨房スペースの比率は客席に対してやや狭めになってきます。この場合、自然に7:3割合に近づきます。理由としては、厨房機器が効率的に配置出来るからです。もともと大きい業務用の厨房機器です。狭い厨房区画に並べるのは苦労しますが、広い厨房区画であれば容易にレイアウトが出来ます。また、スタッフが増えると動線も複雑化しますが元々広い厨房の場合は厨房設計も比較的簡単です。経営者として作業効率を維持するために厨房の広さを適切に設計する必要がありますが、店舗自体が小さい場合、必要な機器のみを効率の良い配置を守りながらレイアウトする作業がいかに大切で難しいかをわかって頂けると幸いです。厨房設計とはなじみのない言葉かも知れませんが店舗にとって非常に重要な役割です。

バランスの重要性

厨房スペースが狭すぎると、調理スタッフの作業効率が低下し、料理の提供が遅れる原因となります。また、設備の配置が不十分だと無駄な動きが増え、サービスの質に影響を及ぼします。反対に、厨房スペースを広く取りすぎると、客席数が減り、売上機会を逃してしまいます。特に小規模店舗では、限られたスペースを有効活用することが収益性の向上に直結します。厨房が狭いのではなく想定以上に客席が大きいのかも知れませんね。こればかりは後でどうする事も出来ません。ただし一部例外的な場合があります。店舗のコンセプトが1名の超有名シェフの場合です。店舗の中央にシェフが立ち、周りを客席で囲むレイアウトが多いです。席と席の間隔は広くゆったりとしています。滞在時間も通常より長く顧客は上質な時間を求めて来店するでしょう。客単価は非常に高く通常は2~3回転を目標にしますがこの場合回転数は実に「1」に近づきます。客席と厨房の比率はなんと5:5です。
飲食店コンサルタントとしてのノウハウから言えば、7:3から6:4のバランスを基準に、店舗の規模やメニュー構成に合わせて設計することが、スムーズな店舗運営と顧客満足度の向上につながります。

2.席数とスタッフ人数のバランス

小規模飲食店において、席数とスタッフ人数のバランスは、店舗運営の効率やサービスの質を維持する上で重要な要素です。特に席数に対して適切なスタッフ数を確保することで、無駄な人件費を抑えつつ、スムーズなオペレーションを実現できます。

席数とホールスタッフのバランス

一般的に、ホールスタッフ1人が担当できる目安は5~10名または2~3テーブルです。例えば、曜日にも寄りますが15席程度の小規模店舗であれば、ホールスタッフは1~2人いれば十分に対応できるでしょう。もし30席ほどの店舗であれば、4~5人のスタッフが必要になります。このバランスを取ることで、注文の取りこぼしや提供の遅れを防ぎ、サービスの質を確保できます。

席数とキッチンスタッフのバランス

キッチンスタッフについても、10~20席につき1~2名を基本とするのが一般的です。シンプルなメニュー構成や調理工程が短い場合には、20席程度でも1人のキッチンスタッフで対応できますが、複雑なメニューが多い場合や仕込みが多い場合には2名体制が必要になることがあります。また、オープンキッチンスタイルの店舗では、キッチンスタッフが接客を兼ねることもあるため、その場合はホールスタッフの人数を減らせる可能性もあります。

バランスの重要性

スタッフが少なすぎると、接客や調理が遅れ、サービス全体が滞り、顧客満足度が確実に低下します。逆に、スタッフを多く雇いすぎると、余剰の人件費がかさみ、経営に負担を与えるでしょう。特に小規模店舗では、最低限の人数で最大限のパフォーマンスを発揮することが重要です。ピークタイムや祝祭日には追加スタッフを投入し、閑散期にはスタッフを調整するなど、柔軟なシフト管理も効果的です。
飲食店コンサルタントのノウハウでは、席数とスタッフ人数のバランスを取る際には、5~10席につき1名のホールスタッフ、10~15席につき2名のキッチンスタッフを基本とし、店舗の規模やオペレーションに応じて調整することが、効率的で安定した運営に繋がるとされています。特に厨房内にいるメインの調理人の人数想定によって主調理する厨房機器の台数や配置が大幅に変わります。スタッフの想定人数と厨房設計はとても重要です。

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